2007年7月25日水曜日

エミレーツは着陸せず

 Die Welt(ディー・ヴェルト)オンラインによると、ドバイを拠点とするアラブ首長国連邦の航空会社エミレーツ航空のベルリン乗り入れが、連邦交通省によって阻まれた。
 エミレーツ航空は、現在ハンブルク、デュッセルドフ、フランクフルト、ミュンヘンに乗り入れており、さらにベルリンとシュツットガルトへの乗り入れを希望していたが、交通省はそのための権利を与えなかった。ただし現在の週49便の範囲を超えないのであれば、交渉の余地は残されているとのこと。
 このような連邦サイドの決定に対し、ベルリンサイドでは乗り入れが実現しなかったことに落胆している。ベルリンでは、ベルリン・ブランデンブルク国際空港(BBI)を建設中であり、インフラの整備だけでなく、エミレーツ航空の乗り入れによって極東やアフリカへの国際航空網への接続を果たしたいところだろう。
 現在のところ、ベルリンから最も近いエミレーツ航空の寄港地はハンブルク。ベルリンからハンブルクまでは鉄道を使って1時間30分で結ばれている(両中央駅間)。

2007年7月12日木曜日

ベルリンの家賃上昇中

 7月11日、ベルリン州都市開発省は、2007年版の「ミートシュピーゲル (Mietspiegel)」を発表した。Mietspiegelとは、家賃を意味する「ミート (Miet)」と鏡を意味する「シュピーゲル (Spiegel)」の合成語。つまり家賃の状況を映し出す鏡、漢語風に訳せば「家賃鑑」ということ。ちなみにドイツの有名な雑誌に「デァ・シュピーゲル」があるが、その「シュピーゲル」と同じ。
 この鑑(かがみ)は、ベルリンの家屋や環境の状況を映し出し上-中-並の三段階で対象物件を評価しているが、これまで家賃が比較的安いとされてきたクロイツベルク地区や若者の街プレンツラウー地区の一部で従来の並から中に格上げされたところがある一方で、郊外の新興住宅地、例えばシュパンダウ地区のシュターケンや、旧東ベルリンの高層アパートのうち改修が済んでいないもの、例えばティアパーク近くのものなどが、中から並に格下げになった。格下げの理由には、住宅の密度の上昇や改修が必要な時期にさしかかっているといったことがある。
 この評価は、管理運営費や暖房費を除く家賃を決定するときの参考にされること多く、家主が家賃引き上げを決めたり、あるいは住民がそれに反対する際の根拠として利用される。ドイツ中世の代表的な法律集に「ザクセン-シュピーゲル」という「シュピーゲル」があるが、ベルリンの「家賃シュピーゲル」も一種の規範として機能しているようだ。
 気になる家賃だが、並評価の家屋の家賃の平均が1平方メートルあたり4.44 EUR、中が4.80 EUR、上が5.30 EUR。全体の平均が4.75 EURだそうで、これは年0.13 EUR(2.9%)の上昇という結果になった。住民にとっては有り難くない話だが、ハンブルクの6.26 EURやミュンヘンの9.30 EURに比べればベルリンはまだまだ恵まれている。
 「ミートシュピーゲル」は、州都市開発省のHPからダウンロードでき、色分けされて見ることができるので、ベルリンに移住あるいは不動産投資を考えている方は、参考にされてはいかがだろうか。

参考リンク:ベルリン州都市開発省のHP(ミートシュピーゲルもここからダウンロード可能)

2007年7月11日水曜日

Puerto verde:ケーペニック地区のウォーターフロント開発

 新聞報道によるとケーペニック地区のウォーターフロントに運河を引き込み、ヨットハーバーを備えるなど、水とのふれあいを楽しめそうな住宅開発の予定があるそうだ。現在「Puerto verde(緑の港)」と呼ばれているメーアマングループ (Meermann-Gruppe) の開発計画がそれだが「ケーペニック」と聞いてピンと来るのは、よっぽどのベルリン通かドイツ文学者くらいだろう。
 ケーペニック地区は、旧東ベルリンの東南に位置し、ベルリンを貫流するシュプレー川やムッゲルゼー湖を擁する緑豊かな地区でベルリンの都心へは電車で30分ほど。東ベルリンの住宅地と言うと社会主義の高層アパートが建ち並ぶ殺伐とした団地を思い浮かべるが、この地区は一戸建ての郊外型住宅や別荘のような建物も多い。西ベルリンにはツェーレンドルフという郊外型高級住宅地があるが、その東ベルリン版と言うと少しはイメージが思い浮かぶかもしれない。
 ちなみにドイツ文学者の間では、「ケーペニック」はカールツックマイヤーの戯曲「ハウプトマン・フォン・ケーペニック」で有名だが、これは失業中の靴職人が大尉の制服を着て大尉に成り済まし、ケーペニックの役場の金庫を開けさせたという実話をもとにしており、その場所がケーペニックだったというわけだ。
 閑話休題。
 ウォーターフロント開発の話に戻るが、この計画はRegattastraße(レガッタシュトラーセ通り)とダーメ川に挟まれたかつての敷地に400戸の集合住宅を建設する予定だが、この敷地はかつて化学工場によって利用されていたことから、現在土壌、水質汚染の状況が審査されている。完成すれば敷地には深さ80センチメートルの堀が作られ、水が引き込まれて水郷の様相を呈することになる。
 ここは現在拡張工事が進められているシェーネフェルト空港(ベルリン・ブランデンブルク国際空港(BBI))や研究学園都市アドラースホーフにも近く研究者や専門労働者の入居も見込まれる。ちなみに分譲価格は25万ユーロからというところだそうだ。

参考リンク:ノイ・ヴェネディッヒ(ケーペニック地区の一例)、レーニン像はどこへ行った?(ケーペニック地区にはこんなものも埋まっている)

2007年7月9日月曜日

フランクフルトで太陽電池工場オープン

 「フランクフルト」と聞いて日本人が思い浮かべるのは、まずはソーセージ、そして次に金融と空港の街フランクフルト・アム・マインといったところだろうか。
 この記事の「フランクフルト」は、それらではなくポーランドと国境を接するブランデンブルク州の都市フランクフルト・アン・デア・オーデル。「フランクフルト・アム・マイン」がマイン川河畔のフランクフルトという意味なら、こちらはオーデル川河畔のフランクフルトという意味。
 国境という意味では国際的と言えなくもないこの街だが、むしろ地方都市的な性格の強い都市。その街で今、ちょっとしたソーラーブームが起こっている。今年4月末に稼働を開始したオーデルサン株式会社 (Odersun AG) の薄層フレキシブル太陽電池工場に続いて、この程米国のファースト・ソーラー社 (First Solar) の工場がこの街にオープンした。同工場は、すでに400人の従業員を雇用し、低価格のソーラーモジュールの製造を開始する。この工場から出荷されるモジュールはザクセン州ブランディス (Brandis) に建設される世界最大級の太陽発電所にも供給されるということだ。
 この他、数週間後にはハンブルクのコネルギー株式会社 (Conergy AG) のフランクフルト工場でも太陽光発電モジュールの製造が開始される予定だ。

2007年7月2日月曜日

ミッテ地区で駐車料金値上げ

 7月1日よりミッテ地区の路上駐車料金が値上げされた。現在赤、黄、緑の三色で駐車ゾーンが色分けされているが、1日より15分の駐車でそれぞれ75、50、25ユーロセントが徴収されることになった。つまり1時間あたりの駐車料金はそれぞれ3、2、1ユーロということになる。
 最も高い「赤料金」は、これまでのポツダム広場に加えて、アレキサンダープラッツ(広場)、フリードリヒシュトラーセ(通り)、ウンター・デン・リンデン通り、ジャンダルマンマルクト(広場)で徴収される。さらに2008年にはレギールングスフィアテル(行政地区)、中央駅、トアシュトラーセ(通り)北側もこれに加わる予定だ。
 このようなパーキングメータによって徴収される路上駐車料金の値上げは、民間駐車場には売り上げ上昇のチャンスだが、商工会議所は客足を遠のかせるとして反対の立場を表明している。ちなみにウンターデンリンデン通りに隣接する民間駐車場の料金は1時間1.60ユーロ。東京に比べればまだまだ安い。