2008年1月13日日曜日

ドイツ-ポーランド国境にBTLプラント建設

 近年、世界的バイオ燃料ブームが起きている。バオイディーゼルやバイオエタノールといった自動車用燃料が、農作物から持続的に生産され、自動車から排出される二酸化炭素の量だけ、作物が空気中から二酸化炭素を取り込むので地球環境にも優しい、なんて聞けば夢の燃料のように聞こえるが、問題も多いことも確か。
 中でも燃料用作物の生産と食糧生産との競合は深刻な問題で、燃料用作物の流通が世界的に活発になり、そうでなくても燃料生産目的で食糧作物栽培地が燃料用のそれに転換されれば、食糧生産も十分ではない世界の最貧国の住民から、食糧を奪ってしまうことにもなりかねない(参考:天笠啓祐『バイオ燃料 - 畑で作るエネルギー』(コモンズ、2007年))。いや、このところの、うちの近所に並ぶ食料品の値上がりを見ると、工業国に住む自分の生活をも脅かしかねない問題だ。

 この問題をどこまで解決できるかどうかは未知数だが、BTLと呼ばれる第二世代のバイオ燃料は、食糧生産との競合を回避する手段として期待されている。BTLとは「Biomass to Liquids」の略で、この手法を使用すれば、麦藁や稲藁、森林間伐材、木質廃材といった食糧としては用いられないバイオマスを使っての燃料生産が可能になる。

 日本では大阪府堺市(バイオエタノール関西)が2007年1月に既に稼働しているが(前掲書)、新聞報道によるとドイツでもChoren社によるBTLプラントが、ブランデンブルク州東部、ポーランドとの国境ともなっているオーデル川の河畔に位置する工業都市シュヴェート(Schwedt)に建設されることになった。計画によると、このプラントは5年以内に年間20万トンの合成バイオ燃料の生産を開始する。
 Choren社が、この地を最初のBTLプラント建設地として選んだのは、国境を接するポーランドからの原料供給を期待してのことだと新聞記事は報じている。この地域はドイツでも最も失業率の高い地域で、雇用創出も期待されているが、プラントが稼働を開始すれば100〜125人分の雇用が直接に発生し、さらに農林業や運送業で少なくとも600の雇用が生まれる(FAZ、2008年1月8日)。

 ベルリンから列車で北へ向かうと、松の植林が目立つ。それらの間伐材の利用も期待できるのだろか。

参考リンク:Choren社プレスリリース(2007年12月18日)

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